11月第1週、米FOMC(連邦公開市場委員会)で総額6000億ドル規模の量的緩和が発表された。今回の量的緩和は「QE2(QE:Quantitative<量的> Easing<緩和>)」と表現されるが、これは今回の量的緩和が第2弾であるため。前回は2008年のサブプライムローンを受けた金融危機時に発動された。今回も、このQE2を受け、世界の株式市場はまさに過剰流動性相場といった様相で上昇ピッチを加速させている。日本株だけが取り残されている。
2010年の為替相場のテーマを追ってみると・・・
2010年後半の為替相場において、ユーロの動きに再び注目が集まっていますね。ニュースでは「ユーロ不安再燃」と騒がれています。でも、そもそもユーロ不安は終息していたのか…といえば、そういうわけではありませんよね。PIIGS諸国の財務状況は改善していたわけではないからです。

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以前にも書きましたが、為替市場は様々な変動要因のうち、参加者が注目しているテーマによって動きが決まってきます。今年の市場のテーマを順に追ってみましょう。
今年2010年の頭からしばらくはなんといってもギリシャに端を発したユーロ情勢(信用不安)が主役でした。財務不安を抱えたPIIGSの動向、それに関連しうる要人の発言や経済指標、政策などの一挙手一動に市場は敏感に、場合によっては過剰に反応していました。また経済拡大を続ける中国の利上げ、中国元の切り上げについても注目されていました。
米国はというと、出口戦略のタイミングなどを計る上でも住宅関連指標や個人消費などは引き続き注目を集めていましたが、ユーロへの注目度に比べると二番手三番手くらいだったと言えます。基本的には米国は順調に景気回復に向かっていると思われていたからですね。
2010年7月には日本で選挙もありましたが、市場での注目は少なく、引き続きギリシャ関連問題が中心でしたが、この頃から米国の景気回復スピードの鈍化について不安視する声が急速に大きくなってきました。ギリシャ問題についてはすぐは根本解決には至らないことを誰もが認識しており、不安要素を抱えたまま少しずつ過剰反応は減っていったのです。市場のテーマがユーロから米ドルにシフトしていったとも言えますね。
中国元については利上げおよび基準バンドの切り上げもあったものの、結果的には中国元はコントロール下におかれ、大幅な元高になることもなく、今も引き続き米国から圧力がかかっています。中国元は自由に市場で売買できるメジャー通貨ではなくとも各市場には影響は大きいのですが、中国元そのものの相場が大きく動きようがないのが特徴です。
2010年8月以降は米国の追加金融緩和策一辺倒でした。各国とも景気回復の減速がみられ、通貨安政策に拍車がかかり、その受け皿として日本円は史上最高値に近づく円高水準となりました。それでも「円高」を叫んでいたのは日本国内だけで、あくまで市場は「ドル安」に注目し、米国がどういう政策を打ち出すか、米国景気はどうなるかという点が焦点でした。
さて、今月最初の週にその米国の追加金融緩和策も発表されました。予想の範囲内にとどまり、米国中間選挙も予想どおりとサプライズがなく、その後の重要指標である雇用統計では多少の景気回復が実感される数字であったことなどから、市場では一気に「ドル売り」関連の材料出尽くし感が広まったと言えるでしょう。ドル円も一気に市場最高値の更新とはならずに小康状態(やや円安)です。
そんなタイミングでのアイルランド財務不安のニュースですから、新たなニュース、大きなテーマを求めていた市場が飛びついたに過ぎないのではないでしょうか。また売られ過ぎた米ドル(対価としてユーロも円同様買われていた)の巻き戻しとしてこのニュースをきっかけにユーロを売っているというくらいで、積極的に欧州信用不安を理由にユーロ売りをしかけているのとは異なるように思います。
ざっと今年2010年の市場のテーマの変遷を見てきましたが、世界の3大通貨という割には「円」そのものがテーマにはならずに常に受け皿という位置づけが今の日本そのものを象徴していて寂しいものです。
2010年為替相場における注目ポイント
米国債利回りの上昇・・・雇用統計上振れを受けて量的緩和第3弾期待が後退
休暇シーズン接近・・・ドルショートの手仕舞いが全般に強まるか
金などコモディティの動向・・・米国の追加緩和期待が後退し、実物資産からドルへ資金が還流か。中国の金融引き締めの懸念も
アイルランド危機・・・金融支援催促相場で、利回り格差拡大・ユーロ売り加速も
南ア準備銀行の政策会合・・・0.5%の利下げの可能性あり